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漫画 『北走新選組』菅野文 [漫画]

新撰組の戊辰戦争時代を扱った作品です。

慶応三年、大政奉還。これを是としない旧幕府強硬派の中に、かつて京で名を馳せた新選組の姿があった。闘い続ける彼らは北へと転戦し、やがて蝦夷地へ至る……。
土方歳三を中心に義を信じ、義に殉じた新選組隊士達の姿を描いた短編集。

新選組を扱った作品で、戊辰戦争をメインに描いている作品は中々無いと思います。武士の時代の終焉、それでも自分達の信じたもののために、武士であり続けた男達の戦いぶりに心震えました。
少女漫画でありながら、戦闘や死の場面の描写に一切の容赦が無く、凄絶な彼らの戦いをきっちり描いています。

局長・近藤勇に最期まで付き従い、函館に転戦する土方と共に戦った隊士・野村利三郎の物語『碧に還る』。
命を預けた土方への憧憬と彼自身の武士としての生き様、そしてその壮絶な最期に涙が止まりませんでした。武士の時代が終わろうとする中で、武士でありたいけれど本当の武士って何なのか、苦悩しながら生き方を模索する姿と、見つけた生き方に殉じた彼の最期の言葉に心震えます。
彼が近藤から土方への言伝を告げたシーンも涙なしには見らません。彼の想いを受けた土方の言葉や行動にも熱い想いを感じて心打たれました。

土方から託され新撰組最後の隊長となった相馬主計の物語『散る緋』。
近藤の死を経て、野村利三郎と共に土方に従い函館で戦った彼は、戦友の野村、そして副長土方の死を目の当たりにしました。明治維新後、新選組の光も影も背負った彼は、土方の願い通りに新選組に幕を引きます。武士として新選組隊士として殉じたその壮絶な覚悟にまた涙が溢れました。

敗色濃厚な中、函館新政府の樹立に貢献した土方歳三の物語『殉白』。
「何の為に戦ったのか」近藤亡き後の戦いの中で自問する彼の姿は、強さの中に儚さが見え隠れして、まるで死に急いでいるようにも見え胸が痛みます。
この頃、寄せ集め集団の新選組を厳しく律し恐れられた鬼副長の顔はなりを潜め、陸軍奉行として先陣切って戦う激しさと、局長の近藤を失っても自分に付いてくる隊士達への優しさを見せていて、新撰組の為に在った彼の生き様とその最期に涙が止まりませんでした。

作者の創作部分もあり美化されている所もありますが、歴史にほぼ忠実で、作者の「歴史はファンタジーではない」という言葉にとても共感しました。
死を過度に美化する事無く、動乱の時代を生きて戦った彼らの想いや生き様が、端正な絵柄と重厚なシナリオで描かれた良作です。
新選組ファンにはもちろん、歴史好きな方にもお勧めです。



北走新選組 (花とゆめCOMICS)

北走新選組 (花とゆめCOMICS)

  • 作者: 菅野 文
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2004/09/17
  • メディア: コミック


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ファンタジー漫画『魔法使いの嫁』 [漫画]

現代が舞台のファンタジー漫画です。
少女を金で買ったのは、ヒト為らざる魔法使い――……。
羽鳥チセ15歳。身寄りもなく、生きる希望も術も持たぬ彼女を金で買ったのは、ヒト為らざる魔法使いだった……。

英国、魔法使い、妖精……、私の好きな要素てんこ盛りでどっぷりハマりました。絵がとても繊細で、絵柄と幻想的な世界観がマッチしていると思います。

チセは生まれつき妖精やその他不思議なものが見え、周囲から忌避されていました。生きる事に失望した彼女は自ら競りにかけられる事を望み、そして大魔法使い・エリアスに買い取られます。人身売買で買われた少女が買われた先でも酷い目に遭う、というのはよくあるパターンですが、チセを買ったエリアスは極めて紳士的にチセを保護し、自分の弟子に、更にはお嫁さんにすると告げます。
人間嫌いと言われあまり外に出る事も無かったエリアスが、稀有な力を持つチセを手に入れた目的は、そしてお嫁さんにするという発言の真意は何なのか? そして次々と起こる事件、そこでチセが得ていくもの、序盤から怒涛の展開で惹きこまれます。
エリアスや他の魔法使い、妖精達が当たり前のように存在する世界。周囲から愛された事の無いチセは、エリアスや彼を取り巻く人、妖精達からの優しさや好意にどうしていいか分からず、ただただ謝ったり状況に流されて過ごします。そんな姿がとても痛々しいと同時に惹き込まれました。エリアスも人間だけでなく他の魔法使い達とも距離を置いて過ごしてきたようで、何が彼をそうさせていたのか、そしてチセを側に置く事でどう変わっていくのか。境遇は違えど、周りと距離を置いて生きてきた二人の関係は、今のところ師と弟子であり父と娘のようでもあり、飄々としたエリアスと諦観を抱くチセがどう変わって行くのか楽しみです。
まだまだ謎も多く、今後の展開からも目が離せません。
魔法使いの嫁(1) (ブレイドコミックス) (BLADE COMICS)

魔法使いの嫁(1) (ブレイドコミックス) (BLADE COMICS)

  • 作者: ヤマザキコレ
  • 出版社/メーカー: マッグガーデン
  • 発売日: 2014/04/10
  • メディア: コミック
魔法使いの嫁 2 (BLADE COMICS)

魔法使いの嫁 2 (BLADE COMICS)

  • 作者: ヤマザキコレ
  • 出版社/メーカー: マッグガーデン
  • 発売日: 2014/09/10
  • メディア: コミック


魔法使いの嫁 通常版 3 (BLADE COMICS)

魔法使いの嫁 通常版 3 (BLADE COMICS)

  • 作者: ヤマザキコレ
  • 出版社/メーカー: マッグガーデン
  • 発売日: 2015/03/10
  • メディア: コミック



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少女漫画『明治緋色綺譚』 リカチ [漫画]

講談社「BE・LOVE」で連載中の明治時代を舞台にした作品です。現在第7巻まで刊行されています。

明治中期、吉原の廓に売られていた鈴は、縁あって呉服屋の御曹司・津軽に身請けされる。吉原から救ってくれた津軽に恩を感じていた鈴だったが、彼がなんのために自分を救ってくれたのか解らない鈴。「縁だよ」とそれ以外何も話さない津軽の心は?少女から大人になる時間を一緒に過ごすことになった鈴と津軽。二人の運命の恋が緩やかに動き出す。
(講談社サイト作品紹介より)

主人公・鈴は小学生くらいの女の子です。利発で大人びていて、でも年相応の勝気さや可愛らしさを持っていて、つかみどころの無い津軽の一挙手一投足に見せる表情が可愛くてたまりません。そして没落貴族の出という悲しく苦しい過去を持つ鈴。津軽と出逢った時の「幸せになるわ。見返してやるの。負けない、絶対に。」という言葉と強い眼差しに惹き付けられました。
本業の呉服屋と平行して探し物を請け負う仕事をしている津軽。彼の親友・河内慎一郎と鈴の3人と依頼人が織り成す「探し物」に纏わるエピソードは、ほんわかとしていて時にシリアスで、物に込められた人の想いと、自由な恋愛が難しかったこの時代の切なさに心打たれます。
優しい津軽に恩以上の感情を抱くようになる鈴ですが、親に売られた遊郭から見受けされた身である事、遊郭で心壊れ死んでしまった姉の事、その上まだ鈴に暗い影を落とす者の存在(まだ2巻までしか読んでいないのではっきりとはわかりませんが、恐らく姉の他にもう1人いる鈴の兄ではないかと思います。)が幼い鈴を苦しめます。そして津軽は20歳前後でしょうか。2人の間にある年の差も鈴に圧し掛かります。津軽に想いを寄せる女性は多く、「津軽にとって自分は誰かの代わりなんじゃないか?」と苦しむ姿、津軽や周囲の人達に認められよう役に立とうと一途に頑張る姿に惹き込まれます。そうして探し物に行った先で火事に巻き込まれた鈴を助けに来た津軽の「君は私が選んだんだよ。代わりなんているわけ無いだろう?」という言葉に涙が溢れました。
また、商家の長男という立場で、自由などないと冷めた少年時代を送っていた津軽も「夕焼けにあまりいい思い出がない」ともらします。その後鈴に言った「2人で見ると印象が変わる――といいね?」とという台詞が胸に沁みます。
時代、年齢差、それぞれの過去。縁以上の心の繋がりが芽生え始めた2人の今後が気になります。

時代物、年の差カップルの恋、少女から大人への過程、探し物請負という探偵要素もあり、個性的なキャラクターに繊細で綺麗な絵柄、ふわふわと甘いだけじゃない綿密に織られた物語を楽しめる魅力的な作品です。


明治緋色綺譚(1) (Be・Loveコミックス)

明治緋色綺譚(1) (Be・Loveコミックス)

  • 作者: リカチ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/13
  • メディア: コミック



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少年漫画『MIND ASSASSIN』 かずはじめ [漫画]

'94年から'95年にかけて週刊少年ジャンプで連載されたかずはじめさんの作品です。

Mind Assassin――生き物の頭を外部から触れるだけで、その精神と記憶を破壊できる力を持った暗殺者である。ドイツのナチス時代に創り出され、現在日本、奥森かずいはその力を受け継いだ3代目Mind Assassinであった。
そんな彼が営む奥森医院では、精神・記憶に悩む人達の相談に乗っていた。
――そして今日も、悩める人々が彼の元へ足を運ぶ――

とても静かで深く、悲しいけれど温かい、そんな物語の数々です。
ジャンプ特有のアクションシーンやギャグ展開はあまり無く、ジャンプの中では異色な存在だったように思いますが、人の心や記憶を扱ったこの作品の深いテーマにとても惹き付けられました。

殺人のために創りだされた自身の力をかずいはとても嫌っているのですが、それでも、記憶を壊す事が本当に相談者のためになるのならば力を行使します。
心の傷、重い過去、癒し、再生、人間の弱さと強さ、優しさ、切なさが詰まった人間ドラマ、周囲の人達に慕われるかずいの温かい人柄と、力の使い方に苦悩する優しい姿に心打たれました。
また、ある凄惨な過去からかずいが記憶と精神を壊して引き取った少年・虎弥太とかずいの絆にもジーンとします。実年齢は18歳でありながら心は8歳の虎弥太。かずいのマインドアサシンとしての姿を知っていても、かずいの苦悩を察してかずいを慕い、時に子どもらしい悪戯や発言でかずいを翻弄する無邪気な姿に、かずいも読み手もほっと温かい気持ちになれます。暗殺のための力を持つかずいが闇に引き込まれないでいられるのは、虎弥太の存在に依る所が大きいのだと感じました。
そして、人の心を踏みにじる悪人には力をもって制裁を加えます。そこには彼らへの怒りはもちろん、自分の元を訪れた相談者を救えなかった悔恨の念が強く込められていて、力を嫌悪しながらも容赦なく制裁を加える姿と、決して自分の行為を正しいとは微塵も思っておらず、「こんな事をしても誰も救われないけれど、自分に出来る事はこれしかない」と悲しげに言う姿に胸を締め付けられました。

どのエピソードも魅力的なのですが、1番好きなエピソードは1巻に収録されている『#7 幸福者』です。
ある事情で会社を辞めてから変貌してしまった夫を信じて愛し続け、苦悩の末にかずいに記憶と精神を破壊される事を望んだ妻、そして意識を無くした妻と彼女の想いを目の当たりにして自分の過ちに気づき、彼女の意識を取り戻すため誠心誠意尽くした夫の物語。
本当の幸せや愛情って何だろうと考えさせられ、
また不器用な夫の愛情と、変貌した夫を信じ愛し続けた妻、2人の迎えた結末に涙が溢れました。


ごちゃごちゃ描き込まれていない透明感のある絵柄と、静謐で温かくも切なく深いストーリーが魅力的な作品ですが、この静謐さが少年ジャンプの方向性や読者層と合わなかったようで、連載期間が短かったのが残念です。
けど作者のかずはじめさんは自身の公式サイトで、「『Mind Assassin』はライフワークとして描き続けたい」という趣旨の発言をされているので、いつかまたかずいと虎弥太に会える日が来るといいなと思います。

ハッピーエンドばかりではない生きる事の切なさ、特殊な力を持つ故の苦悩、簡単には量れない罪と罰、人の心の強さと弱さ等など、深いテーマに踏み込んだ完成度の高いお勧めの作品です。


MIND ASSASSIN 1 (ジャンプコミックス)

MIND ASSASSIN 1 (ジャンプコミックス)

  • 作者: かず はじめ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1995/05
  • メディア: コミック



MIND ASSASSIN 1 (集英社文庫―コミック版)

MIND ASSASSIN 1 (集英社文庫―コミック版)

  • 作者: かず はじめ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/04/15
  • メディア: 文庫



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少女漫画『少年残像-Boy's next door-』 由貴香織里 [漫画]

由貴香織里さんの短編作品です。
コミックス発行は1998年。現在は文庫版が出ています。

ロサンゼルス全土を震撼させた少年連続殺人事件の犯人<通称・目隠し男(ブラインドマン)>は、小学校教師のエイドリアンだった。
そしてエイドリアンの最後の犠牲者、ストリートボーイのローレンスこそ、エイドリアンが狂おしく愛した恋人だった……。

悲しいまでに残酷で、それでも純粋に愛し合った2人の物語に何度読んでも泣けてしまいます。
猟奇的な殺人を繰り返すエイドリアンの幼少時代のトラウマ―見知らぬ男達に身体を売り、自分を愛さないどころかまともに目を合わせることさえしなかった母、その原因である自身の出生の秘密を知り起きた惨劇―深く傷ついた幼いエイドリアンが取った行動に胸が痛みました。
孤児となったエイドリアンは、自分のような子どもを世の中からなくしたいという思いから教職に就きます。生徒にも他の教師にも慕われるいい先生になるのですが、壊されたエイドリアンの心は、夜になると金で身体を売る少年達を求めた挙句最後には目隠しして殺してしまう殺人鬼に……。そしてその現場を目撃したローレンスをも殺そうとするのですが、エイドリアンの秘密と過去を知ったローレンスと何度か会い共に過ごすうちに惹かれあうようになります。
エイドリアンの愛されたいという想いと、お金で関係を持つ事とその行為そのものに対する嫌悪感、そして何より汚れた自分自身への憎悪が、歪んだ欲望と衝動になって現れていたんだと思います。エイドリアンが放った悲痛な叫びに
「もう殺さなくてもいい。もう許してやってよ。自分(エイドリアン)を。」
と言ったローレンスの言葉に、目を見開いたまま泣くエイドリアン同様涙が溢れました。
そしてローレンスが語った身体を重ねる行為の意味に、彼の深い孤独と絶望が現れていてまた切ないです。
変貌し裏組織のボスとなった実の兄・ダラスの下で、男娼として傷つきながら生きるローレンス。それでもエイドリアンに綺麗な笑みを見せるローレンスの姿が切なくてたまりません。
ローレンスが組織から逃げ出そうとしている事を知ったダラスは、卑劣なやり方で2人を引き裂こうとします。そしてローレンスはエイドリアンに殺される事で、ダラスの下から逃げ出しエイドリアンだけのものになるために芝居を打ちました。ローレンスの芝居を信じてしまったエイドリアンはローレンスにナイフを突き立ててしまいます。ローレンスの言葉が芝居だったとわかり絶望したエイドリアンは、直後に逮捕され裁判に、そして―
悲しい結末なのに、ラストシーンで抱き合う2人の幸せそうな微笑みが切なくて泣けてしまいます。

由貴さんの繊細で美麗な絵が、2人の抱えた傷や悲しみ、愛情と残酷さを惹き立てています。
由貴さんの耽美な世界観や、綺麗で悲壮な物語が好きな方にはお勧めです。
マンガを読んでいるというよりは、古き良き映画を観ているような雰囲気の作品です。


少年残像 (白泉社文庫 ゆ 1-15)

少年残像 (白泉社文庫 ゆ 1-15)

  • 作者: 由貴 香織里
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2009/11/17
  • メディア: 文庫



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漫画『戦国BASARA』 霜月かいり [漫画]

カプコンから出ているアクションゲーム『戦国BASARA』の漫画化作品です。

時は戦国―。
武田信玄に師事し信玄を人生の師と仰ぐ青年・真田幸村は、ある日多勢に無勢の不利な戦いを繰り広げていた伊達政宗と片倉小十郎に助太刀する。だが、幸村を相当の使い手と見た正宗は幸村にも刀を向け勝負を挑んできた。受けて立った幸村だが、決着の付けられぬまま再戦を誓いその場を後にする。
天下の安泰を目指しつつも宿敵・上杉謙信との決戦に燃える信玄、信玄の天下を実現すべく強くあろうとする幸村、苦しむ農民の為に戦の無い世を目指し手段を問わず天下を目指す正宗、様々な思いが交錯する。
一方、第六天魔王を名乗る尾張の織田信長は、中国地方の毛利元就、四国の長曾我部元親を残虐極まりないやり方で討ち滅ぼし勢力を急速に広げていた。
魔王・信長に天下を取らせてはならないと各地に緊張が走る中、ただ人を殺める事に快楽を見出す明智光秀の凶刃が信玄に迫る―

ゲームとは全く違う容姿・性格のキャラが多くいたり、主要なキャラ以外はバタバタと死んでしまったりする(この辺りは戦国時代を舞台にした漫画なので仕方ない面もありますが)ので、ゲームとは別物の戦国創作漫画だと捉える方が楽しめると思います。
信玄を師と仰ぐ幸村はその想いの強さ故に信玄に依存し、戦乱の時代を生きるには真っ直ぐ過ぎる面を持っています。様々な戦いや事件を経験し、迷い悩みながらもそこから脱して一人の武士として漢(おとこ)として成長していく幸村の姿に惹きつけられました。
そして、続く戦乱に苦しめられ、死と人を殺める事を覚悟し農民達を率いて一揆を起こした少女・いつきにかけた正宗の言葉の数々にじーんとなります。勝つ為なら手段を問わない正宗ですが、決して自らの野望ではなく自分が治める国の人々の事を第一に考え、「彼らの為に何が何でも勝たねばならない、負けは許されない。」という正宗の強い決意と眼差しに胸が熱くなりました。正宗が幸村の事を「青臭い」と評したのがよくわかります。幸村とさほど変わらない歳で、信玄と同じものを背負い同じ視点で物事を見ている正宗にとっては、「正々堂々」といった幸村の信念は青臭い綺麗事にしか映らないのでしょう。

生きる時代こそ違えど、「強さとは何か」といった事を考えさせられます。

戦国BASARA乱・世・乱・舞 1 (MFコミックス)

戦国BASARA乱・世・乱・舞 1 (MFコミックス)

  • 作者: 霜月 かいり
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2006/01/23
  • メディア: コミック



戦国BASARA乱・世・乱・舞 2 (MFコミックス)

戦国BASARA乱・世・乱・舞 2 (MFコミックス)

  • 作者: 霜月 かいり
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2006/04/22
  • メディア: コミック



戦国BASARA乱・世・乱・舞 3 (MFコミックス)

戦国BASARA乱・世・乱・舞 3 (MFコミックス)

  • 作者: 霜月 かいり
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2006/07/22
  • メディア: コミック



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少女漫画『空(から)の帝国』 喜多尚江 [漫画]

「花とゆめ」(白泉社)で1993年から1997年まで連載された作品です。
喜多さんの代表作となっています。コミックスは全7巻(現在絶版)、文庫本で全3巻です。

西暦2500年代、イデアという名の不思議な力を持つ人物が初めて世界を統一した。皇帝イデアが支配した数年、世界は平和そのものだった。しかし、突然の彼の死によって世界は混乱に陥っていく。イデアの復活を望む大臣達は、王宮科学者・英里にイデアのクローン作成を依頼するが、クローン技術が未熟である事を理由に英里はそれを断っていた。そんな時英里と彼と共に暮らす少女・リリカは、何者かに襲われ怪我をした少年を街で保護した。イデアそっくりのその少年は「俺はイデアじゃない」と言い残し気を失ってしまう。連れて帰り手当てをすると、目覚めた少年は一切の記憶を失っていた。リリカは彼の額にある傷跡の形から少年を「ローズ」と呼んだ。ローズは大臣達が秘密裏に作成したイデアのクローン。失敗作として処分される所を逃げ出してきたのだった。
王宮で暮らす事になったローズだが、自分はイデアじゃない、失敗作なんかじゃないと葛藤するローズをよそに、イデアの力を受け継ぐ彼を様々な者達が狙う。
一方、保存されていたイデアの遺体が何者かに盗まれてしまった。かつて英里の助手をしていた科学者、通称・右目がイデアの遺体を手に入れる。イデアを憎んでいた右目は「イデアの望まなかった世界」を作らせる為イデアのクローンを作り出し、"イデアと同じ"という意味の「イデム」と名付ける。イデムは右目に認められる為必死にイデアになろうとする。
そして、イデアの力を完全に制御する為の「イデアの遺産」の存在を巡って、ローズは否応無しにイデムと戦う事になる。そして右目の後押しによりイデムは新帝の座に就き、ローズは違法クローンとして指名手配されてしまった。だが、死んだはずのイデアの髪が伸びている事がわかり……。

自分の生まれた理由を求め、そして絶対的な力を持っていたイデアと始終比較されあがくローズの姿に惹き付けられます。そしてローズ同様、イデアのクローンとして生まれたイデムも、自分の存在意義を求めイデアになろうと渇望し、ローズに戦いを挑む痛々しいくらいの一途さにも惹かれます。
ローズにはイデアのクローンとして、そしてイデアとは違う事を証明する為に様々な困難が降りかかってきます。時に傷つきながらも、逃げ出さずに必死に戦い走り続けるローズは見ていて応援したくなります。そして、イデアの替わりではなくローズとして生きようとする彼を慕う人々が皆温かくて、特にローズが想いを寄せるリリカの行動力溢れる姿と「イデアのクローン」である崩せない事実の前に苦しむローズを思いやる彼女の気持ちにジーンとします。
彼らがローズを支え助けようとするのは、ローズがイデアのクローンだからなんかではなく、ローズ自身の人柄や一途さに惹かれての事だと感じました。

淡く優しい雰囲気の絵柄と、登場人物達の温かさがマッチした素敵な作品です。
自分が自分である事を証明する事って実は意外と難しい事なのではないかと思いました。



空(から)の帝国 (第1巻) (白泉社文庫)

空(から)の帝国 (第1巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 喜多 尚江
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2005/01
  • メディア: 文庫



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青年漫画『最終兵器彼女』 高橋しん [漫画]

「ビッグコミックスピリッツ」で、2000年1月から2001年10月にかけて連載された高橋しんさんの作品です。コミックスは全7巻。

北海道の都市で暮らすごく普通の高校生、シュウジとちせ。内気でどじなちせは以前から憧れていた陸上部のシュウジに度胸試しとして告白、シュウジはちせの容姿に惹かれちせの告白を受け入れる。共に奥手な2人は付き合うとういうのがどういう事かわからず暫くぎくしゃくするが、一緒に登下校し交換日記をしながら初々しい交際を始める。
だがある日、正体不明の敵に札幌市が空襲を受けた。爆撃から必死に逃げるシュウジは信じられないものを目にする。それは両腕を巨大な武器に変え、背中から鋼鉄の羽根を生やした人間兵器と化して敵と戦うちせの姿だった。ちせは政府に選ばれ身体を改造された「最終兵器」だという。状況を受け入れられないシュウジをよそに、国籍不明の軍隊との戦争は激化し、ちせは頻繁に戦場へ呼び出され「お仕事」として敵を殲滅していく。その残酷で容赦ない姿は敵も味方さえも恐れさせる。兵器と化したちせに怯えるシュウジ、兵器となった自分の身体を恥じるちせ。それでも2人はちせが生きている証として恋を続けようとした。
「人として生きていたい、恋をしていたい」そんなちせの願いも虚しく、ちせの兵器としての性能はどんどん向上していくが、ある時故障をきっかけに肉体も精神も人間とは程遠いものとなっていき、ちせはシュウジの前から姿を消した。
クラスメイト達にもそれぞれの想いを抱え自衛隊に入隊し戦争に参加する者や、空爆や震災に遭い命を落とす者もいた。壊れていく日常。シュウジは再び姿を見せたちせを連れ、戦争から逃げるようにして町を出たのだが……。

突飛な設定に最初はかなり戸惑いましたが、読んでいるうちに2人の純粋さに胸を打たれます。
「交換日記」なんていう読んでいるこっちが気恥ずかしくなるくらい、初々しすぎる交際をするシュウジとちせ、そんな2人が「戦争」というこれまで非日常だった世界に放り込まれ、さらにちせはその中心に近い位置に置かれてしまいます。何故ちせが選ばれたのか、どういう仕組みで人間を兵器化したのか、この戦争は一体誰が何の為に始めた戦争なのか、といった背景は一切説明されていません。主人公はシュウジの方なので、シュウジが分からない事は読者にも分からないようになっているようで、シュウジと同じ視点で物語の世界にいられます。わけの分からない不条理過ぎる運命、それ故にちせとシュウジの純愛に強く惹きつけられました。ちせとシュウジ、そして2人を取り巻く人々の心が不条理な戦争という極限状態を背景にリアルに浮き彫りにされていて、生きる事、誰かを愛する事、立ち向かう事、それぞれの必死な想いに胸を打たれます。綺麗事だけじゃなく、醜い嫉妬や怒りや自己中心的な思いなど、人々の生々しい感情がせめぎ合う様も惹き付けられました。
所々の戦争や性描写の生々しさとは対照的に、日常は淡々と進みます。兵器されたちせととそれに立ち向かうシュウジの不器用で拙い生き方は、思春期の純粋さと青臭さに溢れていて魅力的です。
特にちせが戦場で殺戮を繰り返しどんどん人としての機能を無くしていく中で、それでもシュウジの彼女でいたいと願った彼女の強く純粋な想いに涙が溢れました。「世界の切り札」だといわれ望まない戦いを強いられる兵器であり思春期の女の子であり、何よりもシュウジの彼女であるちせ。そして兵器と化したちせに怯え、苦しむちせを支える難しさに悩みながらも必死にちせを愛し守ろうとするシュウジ。終わらない戦争の絶望感と止まらないちせの崩壊が苦しくて、「僕達は恋してく、生きていく」何度も出てくるこの台詞がとても切なくてその度に泣かされました。

突飛な設定や謎が謎のまま終わる点など読み手を選ぶ作品ですが、設定を追及するよりも2人の必死に生きて恋する姿を感じられればどっぷりとハマる作品だと思います。
"The last love song on this little planet."この英題が作品の魅力を表していると思います。この作品は「love song」なのです。


最終兵器彼女 (1) (ビッグコミックス)

最終兵器彼女 (1) (ビッグコミックス)

  • 作者: 高橋 しん
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2000/05
  • メディア: コミック



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少女漫画『BASARA』 田村由美 [漫画]

小学館の別冊少女コミックで、1990年から1998年まで連載された作品です。単行本は全27巻、文庫版は全16巻。第38回小学館漫画賞を受賞しています。

20世紀末に高度文明が滅び、それから300年後の日本。世は京に都を置いた国王とその子供たちに支配され、人々は圧政に苦しんでいた。
山陰地方にある白虎の村に双子の兄妹が生まれる。タタラと更紗と名付けられた兄妹は、村の預言者・ナギにより「国を救う運命の子ども」と告げられた。兄・タタラは「運命の少年」として村人の期待を一身に背負って育つ一方、妹・更紗は自分の存在意義に悩んでいた。
運命の少年タタラや白虎の村人を反乱分子として、国王の末子・赤の王率いる軍が白虎の村を襲撃、タタラは殺害されてしまう。兄を殺された瞬間と村人達の絶望を目の当たりにした更紗は、村人をそして国を救うため自分がタタラだと名乗り立ち上がった。ナギ達に支えられ、赤の軍に奪われた宝刀・白虎を取り戻す事に成功した更紗は各地にある残りの宝刀、朱雀・青龍・玄武の刀とその継承者を求め革命軍として人々を率いていく。そして兄と父、村人達の仇である赤の王を追う旅の中で、更紗は朱理と名乗る青年と出会った。朱理は更紗の敵・赤の王。そして赤の王もまた従兄であり親友だった四道を討ったタタラを憎んでいた。互いの正体を知らずに惹かれ合い愛し合う2人に過酷な運命が襲い掛かる―

ここに書ききれない程の大勢のキャラクター達が織り成す生きる姿、戦う姿、愛する姿、そして死んでいく姿、少女漫画的な甘さの一切無い彼らの生き様に何度も涙しました。
運命の子どもという重圧を背負って戦う更紗の必死な姿、更紗を支える人達の優しく時に厳しい眼差し、革命の成就を願う人々の重みのある台詞、戦いの中で自分の存在意義を見つける人、苦しい暮らしや戦いの中で愛し合う人々、保身の為に暗躍する愚かで悲しい王家側の人々……。史実を織り込みながらしっかりと作られた世界観、深く練りこまれた壮大なストーリーと魅力的で多様な登場人物、そして宿敵同士と知らずに惹かれあう更紗と朱理がどうなってしまうのかと夢中になりどっぷりと惹きこまれました。
更紗と白虎の村の生き残り数名で立ち上がった革命軍は、各地の宝刀を探す内に次第に大きくなり国王を脅かす軍勢となります。剣の腕も立ち、強いカリスマ性を発揮する更紗ですが決して完璧な人物ではなく、15歳という年齢相応の弱さや脆さ、不器用さも持っていて、人々の期待を背負って悩み苦しみ、また何度も危機に陥っても必死に戦う姿に胸を打たれました。長い戦いの中で成長していく更紗の姿に自分も一緒に成長していけるような勇気をもらえます。

愛する事や生きる事、自己や命に真摯に向き合った作品です。
少女漫画ですが、男性にも是非お勧めしたいです。


BASARA (1) (小学館文庫)

BASARA (1) (小学館文庫)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 文庫



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少女漫画『天は赤い河のほとり』 篠原千絵  [漫画]

小学館の『少女コミック』誌上で'95年から'02年に渡り連載された作品です。単行本で全28巻、文庫版全16巻。第46回小学館漫画賞を受賞しています。

ごく普通の中学生、鈴木夕梨は、第一志望の高校に合格し、友人の氷室聡との仲も進展し、優しい家族と共に幸せな毎日を送っていた。だがある日、氷室とのデートの最中に突然現れた手によって水溜りの中に引き込まれる。手から逃れた夕梨がたどり着いた先は、古代のヒッタイト帝国だった。ユーリをヒッタイトへ召喚したのは、国内で皇帝に次ぐ権力を持つ皇太后(タワナアンナ)・ナキア。高位の神官であり水を操る魔力を持つナキアは、自分の息子・第6王子ジュダに皇位を継がせたいという野望を抱いており、邪魔な兄皇子達を呪い殺す為の生贄としてユーリを呼び寄せたのだった。自分を取り巻く状況に混乱しながらも、ナキアの元から逃げ出したユーリを助けたのは、ナキアが最も邪魔に思っている第3皇子・カイルだった。ナキアの企みを知るカイルは、ナキアの手から守るためユーリを自分の側室にして宮にかくまう。
名実共に有力な皇位継承候補であるカイルと行動を共にするうちに、思いがけず大きな手柄をあげたユーリは、愛と戦いの女神・イシュタルとして広く名を知られ、カイルの臣下や民衆にも支持されるようになる。ユーリに探し求めていた皇妃のとしての資質を見出したカイルは、いくつもの戦や事件を経てユーリと惹かれあっていくが、ユーリの「日本に帰りたい」という願いのため、想いを遂げられずにいた。
後にカイルはヒッタイト皇帝ムルシリ2世として即位。しかし、ナキアのタワナアンナの権限は皇帝から独立している為、ナキアの横暴を止める事ができない。そんな中、ユーリはナキアの策略によって、日本に帰る為の条件の1つである『泉』を埋められそうになり、そしてそれを阻止しようとするカイルの命が危険にさらされた。日本の家族とカイル、決断を迫られたユーリはヒッタイトで生きていく事を決意。ようやく、二人は結ばれる。
その頃、ヒッタイトではエジプトとの戦争が開始されようとしていた。そしてエジプトの将軍・ラムセスも、ユーリの上に立つ者としての資質を目にし、「ユーリを自分の妻に」と狙うようになる。また、カイルとの身分の差に悩むユーリにつけ込む様に、ナキアはユーリに近衛長官(ガル・メシェデイ)就任を正妃になる為の条件として突きつけた。戦場で合法的に抹殺されかねない危険極まりない条件だったが、ユーリはそれを受け入れる。
その後ユーリはカイルとの子を授かり、ユーリは戦線を離れカルケミシュへ向かった。そして迎えたエジプトとの戦争。ナキアの陰謀、カイルの理想、ユーリの想い、ラムセスの野望、様々な思いが渦巻く戦いの最中、ユーリが行方不明になったという報がカイルに伝えられ……。

古代ヒッタイト帝国というと現在のトルコ共和国辺りになります。時代は紀元前14世紀頃。ですがこの頃の歴史を知らなくとも、物語中で丁寧に解説されているので問題なく楽しめます。

印象的で心を打つ台詞の数々、そして何よりも主人公・ユーリの芯の強さに惹き付けられました。
現代日本から召喚され、何度も命を狙われても決して怯む事無く立ち向かっていく姿、全ての人々を慈しむ優しさ、兵士達にもひけを取らない高い運動能力で戦場を駆ける姿、敵将も唸る優れた政治感覚や洞察力、カイルの理想を助ける為なら自分の危険も厭わない強い信念、そして10代の女の子らしい純粋と一途さ、悩み迷う事はあっても決して愛され守られる事に甘んじたりしない強さがとても魅力的です。
また最大の敵役・ナキア皇太后にも、野望を燃やすに至った悲しい過去があり敵キャラとしての魅力を放っています。バビロニアから売られるように側室としてヒッタイトへ嫁ぎ、愛し愛されるユーリとは正反対に、惹かれ合った神官・ウルヒと結ばれ幸福を望む事は叶いません。孤独の中、ただ自分の血筋でヒッタイトを支配する事だけを考え、皇妃への血にまみれた道を歩み、皇妃となった後はウルヒと共に政治も人命も省みず、自らの野望の為なら手段を選ばない冷酷な権力者となったナキアの悲痛な想いに胸が痛みました。
またナキアの数々の行いはユーリにとっての反面教師となります。ユーリを人の上に立つのに相応しい人物へと育てたナキアの存在はこの物語にとって無くてはならないものとなっています。

自然体で真っ直ぐな強いユーリの言葉は、ユーリと関わった人達と読み手の心に響いてきます。
「身分ってのは上の者が下の者を守るためにあるんじゃないの!?」
「皇帝陛下(カイル)にオリエントの覇権はとってほしい、けど流す血は少ない程価値がある」
「青臭いきれいごとでも、貫けば本物になるかもしれない。」

戦乱の世に生き、国を治める立場の人間でなくても、心に止めておきたい言葉です。
少女マンガですが男性にもお勧めしたい作品です。


天は赤い河のほとり〔文庫〕 1 (小学館文庫 (しA-31))

天は赤い河のほとり〔文庫〕 1 (小学館文庫 (しA-31))

  • 作者: 篠原 千絵
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/10/14
  • メディア: 文庫



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