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内村光良監督作品『金メダル男』 [映画:劇場]

内村光良監督作品第三弾、『金メダル男』を観てきました。

東京オリンピックの開催に日本中が沸いていた1964年。長野県塩尻市に、ひとりの男の子が誕生した。
彼の名は秋田泉一。幼少時はごく普通のぼんやりした男児だったが、小学生の時に、運動会の徒競走で一等賞に輝いたことで人生が一変する。一等賞がもたらす幸福感にすっかりとりつかれてしまった泉一。ありとあらゆるジャンルで一等賞を獲りまくり、いつしか「塩尻の金メダル男」と呼ばれるまでになっていた。
ところが中学に入学すると、異性のことが気になり始め、集中力を欠くようになったのだ。一等賞からすっかり見放された泉一は高校で巻き返しを図るが、勉強スポーツも上手くいかない。
それはめくるめく、七転び八起人生のはじまりに過ぎなかった……。

随所に内村さんらしさが漂い、くすっと笑えてじーんとする楽しい作品でした。
まず目を惹かれるのは、内村さんとW主演で若い頃の泉一を演じた知念侑李さん。メイクや髪型の印象もありますが、ふとした表情や仕草、視線の遣り方、淋し気に歩く後姿など内村さんとよく似ていて、「この人が歳を重ねてこうなった」という説得力があり、研究したんだろうなぁと感じさせてくれました。また、高い身体能力で魅せてくれたり、女の子にぽぉーっとなったり歌舞伎の見得を切ったりと振り切れた変顔も見せてくれたり、役者としての今後が楽しみな方でした。
豪華なキャストもまた見所の一つです。「え!? この方にこんなことさせるの?」「この方の出番、これだけ!?」と驚くようなキャスティングもあり、今後の作品につながるのではないかという出会いも感じさせます。
七転び八起な泉一の人生、「あらゆることで一位になる」とブレない精神で何かを見つけ走り出しては迷走し、壁にぶつかって挫折し居場所を失って、それでもまた何かを見つけて走り出す。逞しい彼の生き様は、なかなか真似できるものじゃありませんが、人生において何かに打ち込んだことは決して無駄にはならないと思わせてくれます。冷静に考えると「あなた一体何がしたいんですか……?」「そりゃ駄目になるよね……」と思わせる所も、周りの人物からの言葉やアクションで、本人が気づいていない自身の迷走ぶりや滑稽さを際立たせていて面白いです。何かに夢中になったりがむしゃらに打ち込む事は時に滑稽に映ったりもするけれど、それは決してかっこ悪い事無駄な事なんかじゃないんだと気づかせてくれます。
終盤、50歳を超えた泉一の目が捕えた、何気ないけど大切なものに胸を打たれました。そしてそこからまた始まる彼の物語は、何かに挑戦するのに遅すぎる事はないと力づけられます。
挫折を繰り返しても立ち上がる泉一に「あんたには何かある」と泉一の背を押してくれた母と、脚光を浴びた後低迷してしまった彼に「またやればいいじゃない。私も手伝うから」と寄り添う妻の存在感がとても温かいです。そしてエンディングで流れる桑田佳祐さんの楽曲『君への手紙』は、疾走し続ける泉一と彼を応援する周囲の人々の物語にぴったりでジーンとなりました。
泉一は物語の主人公ですが万能のヒーローでもなく、大恋愛をするわけでもなく、ごく普通の男性です。そんな人間臭い彼が迷走し挫折を繰り返しながらも立ち上がる姿、周囲を困惑させたり笑われたりしながらも自分の信じた道を突き進む姿に惹きつけられました、
「諦めない事が大事」、子供の頃から泉一が言い続け彼の指針になっていた言葉です。諦めない事、失敗や周囲の目を恐れない事、そして何より楽しんで挑む事、そんな風に肩肘張らずに生きる力をくれる温かな作品です。

内村さん自身が執筆した小説版は映画とはまた少し違った展開になっています。文章から内村さんの声が聞こえてくるようで、映画と共に内村さんらしい作品です。

金メダル男 (中公文庫)

金メダル男 (中公文庫)

  • 作者: 内村 光良
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/06/23
  • メディア: 文庫



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ディズニー映画『ズートピア』 [映画:劇場]

先日ディズニー映画『ズートピア』を観てきました。

進化した動物たちが高度な文明を築いて暮らしている大都会・ズートピア。
ウサギ初の警察官となったジュディは「ズートピアをもっと良くしたい」と希望を抱いて赴任するも、理想と現実のギャップに苦しみながら与えられた不本意な仕事を懸命にこなしていた。
一見平和なズートピアでは、肉食動物の失踪事件が相次いでいた。「私が行方不明者を探して見せる」と意気込むジュディは、街で知り合った詐欺師のキツネ・ニックの弱みを握って捜査に協力させる。反発しあいながらも、似たような境遇を背負った2人は次第に意気投合していく。
ジュディとニックは無事に事件を解決できるのか。そしてズートピアの根幹を揺るがす失踪事件の真相は。

動物たちの暮らしは正に「進化したもの」であり、単純な擬人化とは違います。主要なキャラから脇役に至るまで、動物の動きや習性がリアルに描かれ、高度な文明の中で各動物たちのその差が活かされた街づくりがされています。隅々まで丁寧に作り込まれ、どんな動物でも共存できるよう工夫の凝らされた街並みに感嘆しました。
そして可愛くリアルなだけではなく、偏見や差別というテーマがあり考えさせられます。「ウサギはウサギらしく」「ありのままに」「だってキツネだろ」といった言葉は、現実にも自分が同じような事を耳にしたり口にしてしまっていることを突き付けられ、ジュディの憤りやニックの傷と共に突き刺さってきました。(余談ですが、「ありのままに」って言葉を『アナ雪』とは全く違う方向で使った事に驚きました。)
捜査に奮闘するジュディと弱みを握られ渋々協力するニック。ニックが幼少時に心に負った傷は深く、ニヒルに笑って見せながらも夢も希望も捨てた悲しい目に心打たれました。共に行動するうちに互いに似たような境遇にいる事に気付き、反発し弱みを握って利用する関係から心を開いて軽口を叩き合う間柄に変わっていく様に惹きこまれます。
心通わせた2人の捜査により、失踪していた肉食動物達は発見されたのですが、インタビューを受けたジュディの失言も相まって、ズートピアの根幹を揺るがす事態となってしまいます。それは心を開き捜査に協力してくれたニックを裏切り傷付ける発言でした。英雄としてインタビュアーに囲まれ浮足立ってしまったのでしょうか、「キツネを仲間にするなんてやめておけ」と言い残し去って行くニックの表情に胸が痛みました。ズートピアを不安と混乱に陥れてしまった事、何よりニックを傷付けてしまった事に責任を感じたジュディは辞職を願い出て故郷へ帰ってしまいます。失意の日々で得たある情報が、事件の真相に繋がっていると気づいたジュディはニックに謝罪しズートピアに戻る決意をします。傷付き戸惑いながらもジュディの謝罪を受け入れたニックの優しさと男前さに惚れ惚れしました。
ズートピアを不安と混乱に陥れた失踪事件の真相は、ある意外な人物の目論見からなるものでした。偏見や差別に苦しみ、真っ向から立ち向かう者、受け入れ諦めて生きる者、そして、復讐めいた変革を起こそうとする者、それぞれの生き様はどれも共感できるもので、自分ならどうするかと考えさせられました。
オチがまた秀逸で、物語の経緯を観た後でも偏見が捨て切れていないと気づかされます。

集団で生きる以上、偏見や差別はどうしてもなくならないものかもしれません。そんな中で、どうやって生きて行くか、夢や希望を持ち行動する事にどんな意味があるか。多様な価値観や文化の中で他者を尊重し自分を大事にする事の難しさと大切さ。色んな事を考えさせてくれる名作です。

ズートピア公式サイト
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映画『僕だけがいない街』 [映画:劇場]

先日、藤原達也さん主演の映画『僕だけがいない街』を観てきました。

ピザ屋でアルバイトする売れない漫画家の藤沼悟。彼は、事件や事故に遭遇すると、その原因が発生する直前の時点に時間が巻き戻る不思議な能力を持っていた。その事件や事故を防ぐまでリバイバルは繰り返される。
ある日、悟はリバイバルにより子供を交通事故から救った結果自分が事故に遭ってしまう。他人と距離を置いて生きてきた悟だが、病院に付き添ってくれたバイト仲間の片桐愛梨の天真爛漫な振る舞いと真っ直ぐな言葉に少しずつ心を開いていく。数日後、悟が再びリバイバルに遭遇した時、一緒にいた母・佐知子が何かに気づく。しかしその直後、佐知子は何者かに殺害されてしまう。ベランダに潜んでいた不審人物を追う中で、自分が容疑者になってしまった悟。彼を匿う愛梨までもが何者かに狙われ、悟は殺人の容疑で逮捕されてしまう。すると再びリバイバルが起こり、1988年の小学生時代に戻ってしまう。それは、同級生の雛月加代が被害者となった連続誘拐殺人事件が起こる直前だった。大人の記憶と意識を持ったまま11歳に戻った悟は、全ての鍵はこの事件にあると確信し、雛月を守ってみせると決意する悟だったが……。

及川光博さん目当てで観に行ったんですが、大変満足です!
この作品の一番の見所は小学生時代ではないかと思います。母親から虐待を受けクラスから孤立していた加代を、母親からも殺人犯からも守ろうと奔走する小さな悟の手に、観ているこちらの手にも力が入りました。少しずつ悟に心を開いていく加代の表情にも惹きつけられます。中でも、悟の家で朝食を食べるシーンで、ウィンナーを食べながら「美味しい……」と涙を流すシーンに涙腺が緩みました。何度も描写される繋いだ2人の小さな手が微笑ましいです。
加代を救う事に一度は失敗し、二度目のリバイバルが起きるのですが、「今度こそ失敗しない」と小さな拳を握る悟に、そして新たな協力者であるクラスメイトの小林賢也との友情に胸が熱くなります。悟と加代の誕生日会の後、悟は堅也と共に加代を誘拐し母親からも殺人犯からも守り抜き、担任教師の八代の助力もあり無事に加代を救う事が出来たのですが、その結果未来は変わり、殺人容疑をかけられた自分を信じてくれて、守りたい存在になっていた愛梨とは出逢わない事になってしまいます。18年前から戻り、街の中を走る愛梨はすれ違った悟を知りません。走り去っていく愛梨を見つめる悟の表情が切ないです。その後偶然、悟が逮捕された鉄橋下で再会し想いを語る悟ですが、悟を知らない愛梨には伝わらない。過去を変え惨劇を阻止してめでたしめでたしと単純には終わらない物語の深さに感嘆しました。

18年前の事件の真犯人、そして母と愛梨を襲い悟に濡れ衣を着せた犯人は誰なのか。
以下は重大なネタバレになりますので続きへ畳みます。

及川光博さんが出演されていると知った後で漫画原作だという事を知りました。漫画版と映画版ではラストが異なるようなので、漫画版も読んでみたいと思います。
原作ものの映像化は原作を知らずに観る方が楽しめそうですね。

映画『僕だけがいない街』公式サイト



僕だけがいない街 (1) (カドカワコミックス・エース)

僕だけがいない街 (1) (カドカワコミックス・エース)

  • 作者: 三部 けい
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2013/01/25
  • メディア: コミック


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映画『パディントン』 [映画:劇場]

世界中で愛される児童文学が原作の映画です。

ペルーの森を出てロンドンにやって来た小さな紳士。礼儀正しく挨拶するもクマである彼を誰も相手にしてくれない。とっぷり日も暮れて途方にくれる彼に声をかけたのは、家族旅行から帰ってきたブラウン一家の夫人だった。彼女にパディントンという名前をもらった彼はブラウン家に居候する事に。初めての都会での暮らしに大騒動を巻き起こしながら、次第にブラウン家の子供達とも打ち解け、迷惑がっていたブラウン氏も心を開いていく。だが、彼を剥製にしようと付け狙う美女・ミリセントが現れ留守番中のパディントンをさらおうとブラウン家に侵入、撃退するもボヤ騒ぎを起こしてしまう。置手紙を残して新しい家を探しロンドンを彷徨うパディントン、彼を心配するブラウン一家、そして再び迫るミリセントの魔の手。自然史博物館に連れ去られたパディントンは逃げようとするも麻酔銃で撃たれてしまう。一方、偏屈な隣人・カリーからの知らせを受けブラウン一家は自然史博物館へ駆けつける。果たして、無事にパディントンを救う事はできるのか。

テディベア好きにはたまらない可愛らしさ(ぬいぐるみではなく本物のクマですが)に一目で惹きこまれました。
紳士的で純粋で親切なパディントンは、故郷を無くし淋しさと孤独を抱えてもいます。この作品は知らない人間ばかりの街で、「人の言葉を喋るクマ」という明らかに異質な存在の彼が自分の居場所を探す物語でもあり、また彼を迎え入れたブラウン家の絆の物語でもあります。ブラウン氏は「クマと暮らすなんて子供達が危険だ」「役所へ引き渡す」と猛反対でした。様々な騒動を巻き起こすうちに子供達とも打ち解けた様子や、一家を見守る親戚のバード老夫人の言葉、一人ぼっちのパディントンを心配するブラウン夫人の言動、そして何よりパディントンの純粋さに、ブラウン氏も心を開いていく過程にも惹きつけられます。一家の主として家族を守らなくてはという強い想いと、パディントンへの気持ちに揺らぎ面倒を見るようになり、そしてその果敢な行動に子供達の父への見方も変わっていきます。パディントンと出逢った駅のシーンではバラバラだったブラウン家の気持ちが、パディントンを通じて一つになっていくのも見どころです。

そしてパディントンを剥製にしようと付け狙うミリセント。ブラウン家の隣人カリーをその美貌で誑かし味方に付けた彼女ですが、ミリセントの真の目的を知ったカリーはブラウン氏へ知らせます。ミリセントに利用されるカリーの滑稽さに笑い、正体を隠して(バレバレですが)ブラウン家にパディントンの居場所を連絡する彼に拍手を送りたくなりました。彼は偏屈ですが悪人ではないのですね。おおらかなブラウン夫人にバード老婦人、思春期真っ只中なブラウン家長女のジュディ、好奇心旺盛な長男のジョナサン、堅物だけど昔はワイルドだったブラウン氏に、偏屈なカリー、目的の為には手段を選ばない悪人ミリセント。様々な人がいる中で、互いを尊重し認め合って生きる、そんなシンプルだけど何故か難しい事の大切さを感じさせてくれます。
原作は児童文学ですが、大人にこそ観て頂きたい作品です。
間も無く上映終了すると思われますので(私がよく行く映画館では字幕版が今週終了しました)、まだ観てない方は是非観に行って頂きたいです。
くまのパディントン―パディントンの本〈1〉 (福音館文庫 物語)

くまのパディントン―パディントンの本〈1〉 (福音館文庫 物語)

  • 作者: マイケル ボンド
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2002/06/20
  • メディア: 文庫

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松山ケンイチ主演『ノルウェイの森』 [映画:劇場]

先月公開された村上春樹さん原作の映画『ノルウェイの森』を観てきました。
映画『ノルウェイの森』公式サイト

原作がとても好きなので所々不満点はありますが、全体的には良い映画になっていたと思います。

先ずは不満な所から。
・序盤、直子が語った「古い野井戸」の話がばっさりカット。
原作は38歳になったワタナベ君が、20歳の頃の事を回想するという形で始まるのですが、その時思い出したのが直子が語った「どこかにあるけどどこにあるのか誰にもわからない、落ちたら助かる見込みの無い古い井戸」の話。
井戸は春樹さんのこの頃の作品によく登場し、孤独や喪失感、無力感、心の闇などなどを表す大事なモチーフなのですが、この話がばっさりカット。残念です。

ラブシーンが特濃
監督がフランスの人だからでしょうか。ラブシーンがやたら濃厚でちょっと目と耳のやり場に困ってしまいます。
原作でも重要な行為として描かれてはいますが、そこへ至るまでの過程が大事なのに端折られていて、些細なやり取りから唐突にラブシーン突入で戸惑いました。

・レイコさんの存在感が希薄
療養所で直子と同室で過ごすレイコさん。直子との絆やレイコさん自身の過去もばっさりカット。
原作終盤でワタナベ君と2人で行った直子の「淋しくないお葬式」もありませんでした。
彼女の過去に何があったのかがまったく描かれていないので、終盤にレイコさんがワタナベ君に言った「お願い」は、原作を読んでいない人には何故こんな事を言うのか理解出来ないんじゃないかと思います。
とはいえ、そこまで描いていたら4時間は越える作品になってしまいますが。


満足だった所。
キャスティングは私のイメージに近く、特にワタナベ君を演じた松山ケンイチさんが良かったです。
優柔不断と紙一重の優しさ、淡々とした語り口、緑といる時の穏やかな表情、直子を失った時の激しい混乱ぶり、全てに惹きつけられました。松山ケンイチさん、ファンになりそうです。
ワタナベ君は決して魅力的な男性、というわけではないですが、映画を観ていて緑がワタナベ君に惹かれたのが何となく分かる気がしました。
直子も緑もそれぞれに強い存在感を放っていて魅力的でした。
直子は原作よりも強く暗い力を感じます。ワタナベ君を見ているようで誰の事も見ていない目つきと、今にも壊れそうな声が特に印象に残りました。対して緑は原作同様明るい生命のエネルギーに満ちていて、不幸な境遇を乗り越えていこうとする強さに惹かれます。
風景も綺麗で、特に直子を失ったワタナベ君が荒れた海で悲しい咆哮を上げるシーンは、ワタナベ君の心情と風景が同化して印象深いシーンです。
直子には「好きだよ」と、緑には「愛してるよ」とワタナベ君は告げました。この違いが、揺れていたワタナベ君の今後の心と人生の行方を表しているんだろうなと思いました。

不満点も満足した所も、細かい事を上げればキリが無いですが、原作の魅力を損なう事無く、愛や生死、幸福について、考えさせられる良い映画に仕上がっていました。

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映画『レイトン教授と永遠の歌姫』 [映画:劇場]

昨日はレイトン教授シリーズの映画版『レイトン教授と永遠の歌姫』を観てきました。

ある日、レイトンの下にオペラのチケットが同封された一通の手紙が届いた。差出人はレイトンのかつての教え子、オペラ歌手のジェニス・カトレーン。1年前に亡くなった友人・ミリーナが7歳の少女の姿で現れ「永遠の命を手に入れた」と言っているという。
この不可解な出来事を解明するため、レイトンはルークや助手のレミと共にオペラが上演される”クラウン・ペトーネ劇場”へと向かう。そこで上演されたのは、レイトンの師であるシュレーダー博士が研究していた不老不死王国『古代アンブロシア王国』の伝説を元に、作曲家のオズロ・ウィスラーが作曲した新作オペラ。
しかし、劇場に集まった観客達の本当の目的は、「永遠の命」を手に入れることであった。舞台に現れた怪しげな男の合図で、「永遠の命」を与える1人を絞り込むためのナゾトキゲームが始まる―
(公式サイトより)

11月に発売された、ニンテンドーDSのレイトン教授第2シリーズ第1弾『レイトン教授と魔神の笛』事件の直後の物語、という事になっています。
ゲームの優しく温かい雰囲気はそのままに、スクリーンで繰り広げられるナゾトキと冒険は迫力満点でした!
生前の記憶を持ち蘇ったミリーナの謎、永遠の命の秘密が隠されているという伝説の不老不死王国「古代アンブロシア王国」、魅力的な謎に満ちた物語に惹き付けられます。
レイトン教授シリーズの最大の特徴である頭の体操的ナゾトキは映画でも健在です。ナゾが出題され、ゲーム中でもお馴染みのシンキングタイムの音楽が流れるシーンは、命懸けとなってしまったナゾトキゲームの緊迫感を増しています。実際にレイトン先生を始めナゾトキゲームの参加者達がぶつぶつ言いながら考えているので、その間観ている自分も答えを考える事が出来て楽しめました。
そして、音楽が今作の重要なファクターになっていて、ミステリアスな響きのオペラの楽曲が印象的です。またその曲を歌うジェニスを演じた声優さんの声も綺麗で素敵でした。

また、映画でもレイトン先生のパーフェクトぶりが光ります。
あり合わせの道具で小型ヘリコプターもどきを作ってしまったり、楽譜を初見でピアノを演奏してしまったり、この事件の首謀者である仮面と黒マントを身に付けた謎めいた科学者・デスコールとの一騎打ちも、迫力満点でカッコよかったです!
デスコールの声を演じているのは俳優の渡部篤朗さん。知的で紳士的なふるまいを見せながらも、目的のために手段を選ばない残酷さを秘めた、頭の切れる魅力的な悪役です。
このデスコールは、ゲーム版の第2シリーズを通しての宿敵となっていて、以前からレイトン先生を知っているらしいデスコールの正体と真の目的は何なのか? 始まったばかりの彼との戦いの行方も目が離せません!

たとえ離れ離れになっても、想えばいつでも傍にいる。
永遠の命に込められた愚かしくも悲しい切実なある想い、その想いに触れた人達の言葉や行動、そこにある愛情や絆に胸を打たれました。


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金城武主演『K-20 怪人二十面相伝』 [映画:劇場]

江戸川乱歩が生み出した名探偵・明智小五郎と怪人二十面相を題材にした、北村想さんによる同名小説を映画化した作品です。

時は1949年。第二次世界大戦は回避され、19世紀から続く華族制度が生み出した極端な格差社会の下にある帝都・東京
学術会議場から、無線による送電システム「テスラ装置」の模型が衆人環視の中盗まれるという事件が起きた。模型を持ち去ったのは、帝都を震撼させる正体不明の大怪盗・怪人二十面相。明智小五郎らが現場検証を行うと、そこには二十面相が使った変装用マスクが残されていた。
ある日、グランド・サーカスのスター曲芸師・遠藤平吉は、カトラリー雑誌『事件実話』の記者を名乗る男から「名探偵・明智小五郎男爵と羽柴財閥令嬢・羽柴葉子の結納の儀を写真に収めてほしい」と依頼を受ける。結納の儀が行われる羽柴ビルの最上階から、儀の模様を隠し撮りすべくシャッターを切ると、突然轟音と爆発が起こり会場は煙に包まれる。折りしも、二十面相から「羽柴財閥が所有する絵画『バベルの塔』を頂戴する」という予告状を受け羽柴ビルは厳戒態勢にあった。平吉は軍警により怪人二十面相として逮捕されてしまう。刑務所へ護送される平吉を救出したのは、サーカスのカラクリ技師・源吉とその仲間達。源吉らが住む長屋へ案内された平吉は、泥棒という源吉の裏の顔を知り衝撃を受け長屋を飛び出してしまう。サーカス小屋に戻った平吉だが、小屋は軍警の手によって焼き払われた後だった。町には平吉を二十面相として指名手配するポスターが至る所に貼られている。居場所を無くした平吉は、サーカス団の少年・シンスケと再会する。シンスケに連れられて孤児達が暮らす地域・ノガミへやってきた平吉は、彼らの為にそして自分の無実を証明する為に源吉らの長屋へ戻り、二十面相と戦う力をつけるべく泥棒修業を始めた。逃走術、変装術等をマスターしていく平吉は、ある夜、ウェデングドレス姿で町を走る女性を見かける。彼女を追っているのは、平吉を罠に嵌めた張本人、怪人二十面相だった。彼女を二十面相の手から救い長屋へ連れてきた平吉は、彼女が羽柴財閥令嬢・羽柴葉子だと知る。上流社会に生きる葉子に腹を立てた平吉は葉子をノガミへ連れて行きそのまま一人で帰ってきてしまう。ノガミで下層階級の現実を目の当たりにした葉子は自分のすべき事を見つけた。平吉と共に長屋に戻った葉子は、自分が二十面相に追われていた理由を語る。テスラ装置、バベルの塔の絵、そして祖父から葉子へ託された「しあわせの箱」。平吉は葉子と源吉、そして明智とも手を組み二十面相の真の狙いに迫るべくある計画を立てる。
二十面相の狙いとその正体とは? 平吉は無実を証明し元の生活に戻れるのか?―

迫力満点のアクションシーン、ほのぼのと笑えるコメディなシーン、切ない恋愛要素もありとても楽しめました。金城武さん、明智を演じた仲村トオルさんがとにかくかっこ良かったです。
平吉が泥棒修業をするシーンで、始めは二十面相と戦う為の修業がだんだんと修業そのものを楽しんでいる様子が無邪気な少年のようで可愛らしかったです。源吉の作った装置を使いこなして鉄塔を乗り超えた時の「すっげーーー!オレ!」って叫びと、変装術を長屋の仲間達に披露し拍手喝采を浴びた時の表情に、罠に嵌められた直後の絶望は微塵も残っていない事を感じさせてくれます。
明智の冷静さや上流階級の人間の気品と知性、垣間見える冷たさと狡猾さ、どれもがとても魅力的でした。明智小五郎という昭和のヒーローを見事に具現化してくれています。平吉と手を組むと決めた時の「明智小五郎の名にかけて、君の無実を証明しよう」という言葉は、とても真摯に響いて安心させてくれました。それなのに、あぁ、それなのに……。
葉子を演じた松たか子さんは嫌味のないお嬢様ぶりが可愛くて素敵でした。『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーンを彷彿とさせるような凛としたお嬢様で、後ろから肩に手をかけた平吉を「無礼者!」と投げ飛ばしてしまったり、オートジャイロと呼ばれる小型の簡易ヘリコプターを操縦する姿と、その姿に唖然とする平吉達に「良家の子女のたしなみです!」と口にした姿はかっこ良かったです!明智邸に潜入している平吉達の為、明智を足止めするべくとった「お色気作戦」が凄く可愛らしくて魅力的でした。
平吉との間に芽生え始めた恋が切ないです。けれど、「あなたを見守っている」という平吉の言葉は、葉子にとってとても心強い支えになっていると思います。太陽の光の下と夜の闇の下、違う時間に歩く2人だけど辿っている道は同じ、そんな関係も素敵だなと思いました。

とても楽しくて温かい気持ちにさせてくれる作品です。
「どんな悲惨な境遇に落とされても、希望を失わなければ幸福でいられる」そんな事を感じさせてくれました。

この先では真相に触れていますのでご注意下さい

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東野圭吾原作 『容疑者Xの献身』  [映画:劇場]

やっと『容疑者Xの献身』観に行けました。

いろいろと違いがあるものの、あらすじは原作とおおよそ同じなので端折りまして。
原作を先に読んでイメージがあるので「ちょっと違うなぁ」と思ったところがいくつかありました。
「数学以外に何にも興味が無い」という石神の趣味が登山って……。
そしてガリレオシリーズの中でも特にこの作品は「男同士の友情」にも重きが置かれていると思うので、刑事の友人であり容疑者の友人でもある湯川の苦悩が原作よりも伝わりにくいような気がします。特に終盤の「友人として聞いてほしい」という湯川の台詞は、同性の友人である草薙刑事相手に言うからこそぐっと来るのになぁと感じました。

誰も幸せになれない結末、やりきれなくて悲しいけれど、それでも石神の想いは美しいものでした。堤真一さんの演技に石神の想いが詰まっていて、キャスティングを聞いた時には「石神が堤さんってかっこよすぎるんじゃ?」と思ったんですが、映画の中の堤さんは石神哲哉そのものでした。(余談ですが、原作を読んで私の脳内イメージの石神は温水洋一さんでした。)
印象に残ったのは、「四色問題」についての「隣り同士が同じ色になってはいけない」という言葉です。原作では湯川と石神が出会った頃のエピソードなどで話題になっていただけでしたが、この言葉が、自分と隣人の靖子は同じ色になれない、靖子と自分が結ばれる事はないんだという悲しい事実を石神が自分自身に突きつけているようで、それでも靖子を守るという決意の悲壮さに胸が痛みます。自分の人生はおろか他人の事もどうでもよくて、靖子自身に自覚が無くても、自分の心を救ってくれた彼女を救い守りたい、見返りなんか無くていい、こんな愛し方もあるんだと感じました。
もちろん、石神のその行為は到底許されるものではありません。石神の築き上げたトリックを知った湯川の衝撃と悲しみも胸を打ちます。「真実を証明しても皆が幸せにならない」と石神は言いますが、―真実を知らないというのは、時には罪悪でもある―これは原作の一文ですが、そんな罪悪を背負っていてはやはり誰も幸せにはなれない、靖子に真相を告げてしまった湯川の気持ちも、わかるような気がします。

冒頭で愛情について内海と湯川が話すシーン、湯川は「愛についてなんて考えるだけ無駄だ」といった発言をしますが、石神の深く献身的な愛情を目の当たりにした湯川が今ではどう言うのか、聞いてみたいと思いました。



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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
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映画 『パコと魔法の絵本』 [映画:劇場]

小説を読んで大感動した『パコと魔法の絵本』、ようやく映画版を観に行く事ができました。

あらすじは小説版とほぼ同じなので端折りまして。
Webサイトで予告編を観た時には、「これってCGにする必要があるのかな?」疑問を感じていたのですが、劇場で観て納得しました。あれはパコが見ているイメージなのですね。役者さんの演技とCGとが交錯する劇中劇のシーンは全く違和感なく、心躍らせてくれる素敵なシーンになっています。
大貫老人、序盤は小説同様腹の立つ人なのですが、中盤以降は眉間に刻まれた縦皺さえも優しいものに見えます。パコの事を知り自分の行いを反省して泣き出す大貫と、それを見守る浅野医師のシーンは知っていてもやはり涙が出ました。
元有名子役・室町の傾いている病室と、レトロなおもちゃが散らばる中に浮かぶ子役時代の彼の幻影達が、室町の追い詰められっぷりを更に際立たせていて、半狂乱になる彼の姿は怖いくらいでした。そんな室町を想う看護士・タマ子が、自分のロッカーに貼った子役時代の室町の写真を見せ、「下手でも何でもいいから見せてくれよっ!」と叫ぶシーンも胸を打たれました。
そして何よりパコ役のアヤカ・ウィルソンがめちゃくちゃ可愛いです! 本当の天使のような微笑みと無邪気そのものの立ち振る舞い、まさに「天真爛漫」を具現化したような存在でした。将来も美人さんになりそうです。
CGが駆使され、登場人物はメイクも性格も濃い人ばかり、過剰な演出やカメラ目線になる登場人物もいたりと、一見リアリティのない世界のようですが、その奇抜な見た目がかえって登場人物達の感情をくっきりと浮かび上がらせてくれていて、嘘のないそれぞれの想いに心揺さぶられました。そして役者さん達が、この作品を思いっ切り楽しんでいる事が伝わってきます。

楽しさあり感動あり、心が洗われる映画でした。DVDが出たら絶対買います。何度でも繰り返し観たい作品です。


パコと魔法の絵本 通常版 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
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