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演劇集団PocketSheepS 第6回公演『鏡界船』 [観劇]

今日は演劇集団PocketSheepS の公演『鏡界船』を観て来ました。

夜崎あかねは超能力を持っている。他人に命令する力。彼女だけに許されたその力には、誰であろうと逆らう事は出来ない。
白峰葵は新人記者。憧れの職業に就き、理想と現実のギャップに苦しみながらも毎日を多忙に過ごす。
二人に共通点はない。趣味も、性格も、考え方も違う。
二人の世界の間にあるのは、誰も超えられない境界線。二人が出会う事はない。
ただ、互いの顔は知っているはずだ。彼女たちが、鏡を見た事があるのならば。
(公式サイトより)

全席自由で、ぽつんと空いていた最前列を確保できました。
小さな劇場でしたが、舞台の狭さなど感じさせず迫力満点でした。セットもほとんど無くても、シーンごとにちゃんと違う場所に見える、役者さんの力に魅せられました。

他人に命令する力、他人の心を読む力、口にした嘘を事実にする力、未来を知る力……様々な超能力を持って生まれてしまった人々の孤独と苦悩、彼らを研究対象としてしか見ず非人道的な実験を繰り返す研究者・黒沢、そして彼らを世間から匿うと言う組織「方舟」に属する月上、様々な思惑が絡み合い進んでいく物語は片時も目が離せませんでした。
研究所を脱走したあかねと他人の心を読む力を持つ友人の真美は、真美の父親の知人だと言う月上の下に身を寄せます。序盤ではちょっと変ないい人にしか見えなかった月上の、終盤での豹変振りに惹き付けられました。「いい人」が実は一番の悪役、その落差が大きいほど惹かれてしまいます。人を笑わせる事のできるコミカルさと、悪役もこなせるシリアスさを併せ持っているって凄いと思います。月上を演じた鍛治本さん、かっこよかったです!

かつて黒沢の研究所であかねに心を救われて、そしてあかねを想って作った嘘の世界で兄として彼女をひっそりと守っていた彰。終盤の「たとえそれが嘘でも、彼女が幸せなら嘘の世界を作る価値はある」といった趣旨の彰の台詞が切なくて胸を打たれました。
全てを思い出し、そして再び忘れさせられ葵として生きるあかねが、彰の前に再び姿を現し「忘れたけれど、また出会うのは私の自由でしょ?」と言った姿にジーンとしました。もう一度「初めまして」と言った彼女があかねと名乗ったのか葵と名乗ったのか? 台詞はかき消され観た人に委ねられています。私は彼女は自分の力や境遇を受け入れられて、あかねと名乗ったのではないかと思います。

利己的な裏切り、大切な人を思うが故の嘘。超能力と言う不思議なものをメインに据えていますが、そこには人が人であるかぎり持っている生々しい感情や孤独感、そして優しさと切なさが詰まっていて心揺さぶられました。素敵な舞台でした。

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